2026年最新版|副業サラリーマンの家事按分 完全ガイド|家賃・電気代・通信費の計算方法を徹底解説

「在宅で副業をしているけど、家賃や電気代はどこまで経費にできるんだろう?」

副業を始めてから確定申告の準備を進めると、必ず直面するのがこの疑問です。毎月支払っている家賃や光熱費の一部が経費になるなら、課税所得を下げる大きなチャンスになります。一方で、根拠のない計上は税務調査で否認されるリスクもあるため、正しい知識が欠かせません。

この記事では、副業を在宅で行う会社員の方に向けて、家事按分(かじあんぶん)の基本的な考え方から費目別の計算式、副業サラリーマン特有の注意点、クラウド会計ソフトへの入力方法まで、順を追って解説します。


この記事でわかること

  • 家事按分とは何か・法的根拠と要件
  • 副業が「雑所得」の場合と「事業所得」の場合で何が変わるか
  • 家賃・電気代・通信費・車の費目別の計算方法と具体的な数値例
  • 副業サラリーマン特有の「本業外出日」をどう扱うか
  • 税務調査で指摘されないための根拠の残し方
  • クラウド会計ソフトで家事按分を入力するコツ
目次

よくある疑問(Q&A)

副業が雑所得でも家事按分はできますか?

できます。事業所得でも雑所得でも、収入を得るために必要な支出は経費として計上できます。自宅を事業所として兼用する場合は、水道光熱費や通信費などを副業で使用した割合を家事按分により計算し、その分だけを経費として計上できます。計上する際には、按分率の根拠となる記録(時間や事業所面積などの具体的な証拠)を残しておくことが重要です。

会社員が青色申告で家事按分できますか?

副業が「事業所得」として認められる場合は青色申告が使えます。ただし副業が雑所得に該当する場合には青色申告の適用はありません。副業の収入規模や帳簿の状況によって所得区分が変わるため、まず自分の副業がどちらに該当するかを確認することが先決です。

按分割合は何パーセントが正解ですか?

法律に上限・下限の定めはありません。最も重要なのは、税務署に質問された際に、誰が聞いても納得できる客観的かつ合理的な基準で計算していることです。感覚的な割合ではなく、面積・使用時間・使用日数といった数値で裏付けを示せることが求められます。

在宅勤務日が週2〜3日の副業でも按分できますか?

できます。按分率は実態に合わせて計算すればよく、週2日であれば週2日分の割合を反映した数値を使います。副業に費やす実際の時間や日数を記録しておくことで、合理的な按分率を算出できます。

20万円ルールがあれば確定申告しなくていいのでは?

副業の「所得(収入から経費を差し引いた金額)」が20万円以下であれば所得税の申告は不要です。ただし、住民税の申告は別途必要になる場合があります(参照:総務省ウェブサイト)。また、家事按分で経費を増やして所得を20万円以下に抑えられるケースもあるため、計算方法の習得は意義があります。


家事按分とは?副業サラリーマンが知っておくべき基礎知識

家事按分の定義と法的根拠

個人事業主やフリーランスが自宅の一部を事業で使用する場合、事業で使用している分の家賃や光熱費は経費として計上できます。経費はあくまで「事業をするうえで発生した支出」のみ計上が可能なので、家賃や光熱費を全額経費にすることはできません。家賃や光熱費など生活費と事業費をはっきりと分けられない費用を、一定の割合で事業分だけ算出する方法を「家事按分」といいます。

法律上の根拠は所得税法施行令第96条です。第1号では、家事の経費については「主たる部分」が「業務の遂行上必要」であれば家事按分が認められると定めています。また第2号では、青色申告書を提出する場合に業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分は経費に計上できるとしています。

副業サラリーマンでも、在宅で副業を行っている場合は同じルールが適用されます。物販で商品を自宅で保管している、ライティングの執筆を自宅の一室で行っているなど副業での使用であれば経費にできる可能性が高いといえます。

副業の「所得区分」によって何が変わるか

副業の家事按分を考えるうえで、まず自分の副業がどの「所得区分」に当たるかを把握しておく必要があります。

副業収入の所得区分は大きく「雑所得(業務に係るもの)」と「事業所得」に分かれます。

項目雑所得(業務)事業所得
家事按分による経費計上可能可能(より広い範囲)
青色申告の利用不可可(開業届・申請書の提出が必要)
赤字の損益通算不可可(給与所得と通算可能)
帳簿の義務前々年収入300万円超で義務義務

事業所得の場合は、経費の範囲がより広く、税務調査においても主張しやすくなる点が魅力です。自宅兼事務所の場合、事業で使う割合(面積や時間)に応じて家事按分し経費計上できます。雑所得でも可能ですが、認められる割合の根拠をより厳密に問われる傾向があるため注意が必要です。

副業収入が年間を通じて継続し、帳簿を適切に管理している場合は事業所得として認められやすくなります。一方、単発的・不定期な収入や収入規模が小さいケースは雑所得の扱いになることが多い傾向です。判断が難しい場合は税理士や税務署への相談をおすすめします。

経費計上できる費目一覧

家事按分の対象になる主な費目を整理します。

費目按分の基準勘定科目
家賃・管理費面積または時間地代家賃
電気代時間または面積水道光熱費
ガス代時間(業種による)水道光熱費
水道代時間(業種による)水道光熱費
インターネット回線時間または使用日数通信費
スマートフォン料金使用日数または時間通信費
ガソリン代走行距離または日数車両費
駐車場代使用日数車両費
火災保険料(賃貸)面積損害保険料

なお、経費として認められない代表例として、住宅ローンの元本部分があります。持ち家の場合、ローンの利息分・建物の減価償却費・固定資産税は按分の対象になりますが、元本返済部分は対象外です。また、住宅ローン控除を利用している場合は事業用割合が50%を超えると控除が受けられなくなる可能性があるため、注意が必要です。


費目別の計算方法と副業サラリーマン向け具体例

副業サラリーマンの場合、フルタイムのフリーランスとは生活パターンが異なります。本業のために外出している時間が多く、1日のうち在宅時間が限られているため、按分率は一般的に低めになります。その実態に合わせた計算方法を費目ごとに解説します。

① 家賃の計算方法

家賃の按分で最もよく使われるのが「面積按分」です。

按分率 = 副業スペースの面積 ÷ 住居全体の面積
経費計上額 = 月額家賃 × 按分率

賃貸物件で家賃を支払っている場合の家事按分の計算方法は、仕事で使用しているスペースの面積の割合から計算する方法と、仕事で使用している時間の割合から求める方法の2種類があります。

副業サラリーマン向け計算例(面積按分)

条件:家賃80,000円 / 住居全体50㎡ / 副業専用スペース5㎡

按分率  = 5㎡ ÷ 50㎡ = 10%
月の経費 = 80,000円 × 10% = 8,000円
年間経費 = 8,000円 × 12ヶ月 = 96,000円

副業サラリーマン向け計算例(時間按分)

副業の場合は、本業のために外出している時間も長いと思われます。その場合は、「業務利用時間 ÷ 実際に在宅している時間」といった計算も想定できますので、それぞれの実情に合った計算式で割合を算出してください。

条件:家賃80,000円 / 1日の在宅時間16時間 / うち副業作業4時間

按分率  = 4時間 ÷ 16時間 = 25%
月の経費 = 80,000円 × 25% = 20,000円

なお、面積按分と時間按分を組み合わせる方法(「面積割合 × 時間割合」で計算する)も認められています。この場合は按分率が低くなりますが、より保守的で説明しやすいという利点もあります。

面積按分と時間按分、どちらが有利か

どちらが経済的に有利かは、副業スペースの広さや作業時間によって異なります。仕事専用の部屋がある場合は面積按分が高い按分率になることが多く、リビングの一角で作業している場合は時間按分が合理的です。大切なのは「説明できる根拠がある方法を選ぶ」ことです。どちらを選んでも問題ありませんが、一度決めた方法を毎年一貫して使用することをおすすめします。

② 電気代の計算方法

電気代は時間按分が一般的です。1日の活動時間における仕事時間の割合で計算する「時間按分」や、家賃のように事業用スペースの面積割合で計算する「面積按分」が合理的です。

副業サラリーマン向け計算例

条件:月の電気代10,000円 / 在宅時間16時間 / うち副業作業3時間

時間按分率  = 3時間 ÷ 16時間 ≒ 19%
月の経費   = 10,000円 × 19% ≒ 1,900円
年間経費   = 1,900円 × 12ヶ月 ≒ 22,800円

副業を週3日在宅でしか行わない場合は、日数によるアプローチも有効です。

条件:月の電気代10,000円 / 週3日間、1日3時間副業

週の副業時間    = 3時間 × 3日 = 9時間
週の総時間     = 24時間 × 7日 = 168時間
按分率         = 9時間 ÷ 168時間 ≒ 5.4%
月の経費       = 10,000円 × 5.4% = 540円

これを見ると、副業サラリーマンの電気代の按分率は5〜20%程度が実態に沿っていることが多いといえます。

③ インターネット回線料金の計算方法

自宅のインターネット回線の場合、総利用時間のうち仕事で利用した時間の割合で計算するのが一般的です。例えば1週間の利用時間が合計50時間で、そのうち30時間が仕事であれば、事業割合は60%となります。

副業サラリーマンの場合は本業で会社のネットワークを使用することが多いため、自宅のインターネット回線を副業でのみ使う時間帯が限られます。実際の使用時間を記録して計算することが望ましいです。

副業サラリーマン向け計算例

条件:月のインターネット料金5,000円
      1日の総利用時間8時間 / うち副業作業3時間(平日のみ)

週5日の副業時間 = 3時間 × 5日 = 15時間
週の総利用時間  = 8時間 × 7日 = 56時間
按分率          = 15時間 ÷ 56時間 ≒ 27%
月の経費        = 5,000円 × 27% ≒ 1,350円
年間経費        = 1,350円 × 12ヶ月 ≒ 16,200円

④ スマートフォン料金の計算方法

スマートフォンを週5日は主に事業で、2日はプライベートで利用しているとすると、「5日 ÷ 7日 = 0.714…」で71%を事業割合とできます。

ただし副業サラリーマンの場合、同じスマートフォンを本業・プライベート・副業と3つの目的で使っていることが多いため、純粋に副業分のみの割合を合理的に算出することが重要です。

業務日数での計算例:

条件:月のスマートフォン料金8,000円
      週5日中、副業で使う日数を2日と設定

副業按分率 = 2日 ÷ 7日 ≒ 29%
月の経費  = 8,000円 × 29% ≒ 2,320円
年間経費  = 2,320円 × 12ヶ月 ≒ 27,840円

⑤ 年間シミュレーション

上記の計算例をまとめて年間の節税効果を試算してみます。副業サラリーマンの典型的なケース(在宅作業:週3〜4日、1日3〜4時間)での試算です。

【前提条件】
家賃:80,000円/月(按分率10%:面積按分)
電気代:10,000円/月(按分率8%:時間按分)
インターネット:5,000円/月(按分率25%:時間按分)
スマートフォン:8,000円/月(按分率20%:日数按分)

【年間経費への計上額】
家賃      :80,000円 × 10% × 12ヶ月 =   96,000円
電気代    :10,000円 ×  8% × 12ヶ月 =    9,600円
通信費①  : 5,000円 × 25% × 12ヶ月 =   15,000円
通信費②  : 8,000円 × 20% × 12ヶ月 =   19,200円
─────────────────────────────
年間合計経費                           = 139,800円

【節税効果の目安】
所得税率20%の場合:139,800円 × 20% =   27,960円の節税
住民税10%を含む場合:139,800円 × 30% = 41,940円の節税

按分率の設定次第で金額は変わりますが、年間で数万円規模の節税効果が見込める場合があります。重要なのは、この数値をあくまで合理的な根拠に基づいて算出することです。


税務調査で指摘されないための根拠管理

国税当局が目を向けやすい費目とは

国税当局はまず水道代、電気代、ガス代などの水道光熱費、地代・家賃などに目を向けるという。売り上げに比べてこれらの経費があまりにも多い場合などは、電話や書面による「お尋ね」という形で調査が行われることもある。

税務調査が入るリスクは低くても、申告書類の比較確認は行われています。同業種の平均的な経費比率から大きく外れている場合には確認が入ることもあります。

指摘されやすい按分の問題例

20㎡のワンルームで家賃の80%を経費計上したり、年収300万円で高級車を購入して経費にしたりすると、明らかに不自然だと判断されます。常に合理的な根拠に基づいて按分することを心がけましょう。

副業サラリーマンに特有の注意点として、以下が挙げられます。

  • 本業で会社に出勤している時間帯も「在宅で副業していた」前提で按分率を設定すると実態と乖離する
  • 副業の収入規模に対して家事按分の経費額が不釣り合いに大きい場合は疑問を持たれやすい
  • 専用スペースがないにもかかわらず面積按分で高い按分率を設定している場合

日頃から残すべき記録と書類

按分の比率を算出した根拠となる資料(図面や平均を計算したときのデータなど)を残しておくことをおすすめします。

具体的に保管しておくと役立つものは以下の通りです。

  • 住居の間取り図や賃貸借契約書(副業スペースの面積を確認できるもの)
  • 副業の作業時間・日数を記録した手帳・カレンダー・タイムシート
  • 按分率の計算根拠をメモした書類(「面積按分で算出」など方法を明記)
  • 月別の光熱費・通信費の請求書や明細(領収書として保管)

なお、白色申告の場合は確定申告期日の翌日から原則5年間、青色申告の場合は原則7年間、書類を保管する義務があります。領収書・明細類はこれに合わせて保管してください。

按分率の見直しタイミング

仕事の状況が変わり、事業での使用実態が変化した場合は、その都度割合を見直すようにします。取引先に常駐して働いていた月と、主に在宅ワークをしていた月がある場合は、家事按分の割合が月ごとに変わることもあり得ます。

副業の案件量・在宅日数が季節によって変動する場合は、月次で按分率を記録しておくか、年間平均を使用する方法のいずれかで一貫した処理を行うことが重要です。


クラウド会計ソフトを使った家事按分の入力方法

仕訳の基本パターン

家事按分の仕訳は、支払い口座によって処理方法が異なります。

副業用の口座から支払った場合(電気代30,000円・うち副業分2,400円の例)

借方金額貸方金額
水道光熱費2,400円普通預金30,000円
事業主貸27,600円

プライベート口座から支払った場合(家賃80,000円・うち副業分8,000円の例)

借方金額貸方金額
地代家賃8,000円事業主借8,000円

事業用の現金や預金から支払った場合はプライベート部分も仕訳する必要があり、プライベート部分の勘定科目は「事業主貸」勘定を使います。

freee・弥生・マネーフォワードの対応

freee、弥生(やよい)、マネーフォワード クラウドのいずれも、家事按分を設定できる機能があります。費目ごとに按分率をあらかじめ登録しておくと、口座連携で取り込んだ明細データに自動で按分率を適用してくれます。月次の入力作業が大幅に簡略化されるため、副業の経理にかかる時間を減らせるのは大きなメリットです。

各ソフトの詳細な機能比較や料金については、別記事「クラウド会計ソフト比較」もあわせてご参照ください。


副業サラリーマンが特に注意すべき3つのポイント

① アルバイト・パートでの副業は経費計上できない

アルバイトやパートで副業をしている場合は、原則として経費を計上できません。仮にアルバイトの副業で交通費などの費用が掛かったとしても、確定申告で経費として認められないため注意しましょう。

給与所得(アルバイト・パート等)として得た収入は、給与所得控除が自動的に適用される仕組みになっているため、個別に経費を計上することはできません。家事按分が適用できるのは、事業所得または雑所得(業務に係るもの)として申告する副業に限られます。

② 在宅勤務(本業)の時間は副業の家事按分に含められない

在宅勤務として本業をこなしている時間は、副業の経費として按分する対象にはなりません。あくまでも「副業に使用している時間・スペース」を根拠として算出する必要があります。本業の在宅勤務時間を含めて按分率を過大に計算すると、指摘を受けるリスクがあります。

③ 住民税の申告は所得税と別に必要

副業収入が年間20万円以下であれば所得税の確定申告は不要です。ただし、住民税(市区町村民税・都道府県民税)の申告は、所得税の申告不要制度とは別に必要になるケースがあります(参照:総務省ウェブサイト)。会社にバレたくない場合は、住民税の納付方法を「普通徴収」に切り替えることで対応可能な場合もありますが、手続きが必要です。副業の確定申告を行う際は必ず確認してください。


まとめ

副業サラリーマンの家事按分について、重要なポイントを整理します。

  • 家事按分は雑所得・事業所得のどちらでも適用できる(ただし青色申告は事業所得限定)
  • 按分率は面積・時間・日数などの客観的な数値で算出し、根拠を残す
  • 副業サラリーマンの按分率は実態に合わせて低めになることが多い(外出時間・本業の在宅時間は含めない)
  • 住宅ローンの元本は対象外・住宅ローン控除とのトレードオフに注意
  • 書類は白色申告5年・青色申告7年の保管義務がある
  • クラウド会計ソフトを使うと按分率の設定を自動化できて管理が楽になる

年間を通じて継続的に副業に取り組んでいる方は、クラウド会計ソフトの導入を検討することで、経理処理の時間を大幅に短縮できます。まずは無料プランで試してみることが、負担なく始める第一歩になります。


免責事項

本記事は2026年3月時点の公開情報および筆者の実体験に基づく情報提供を目的としたガイドです。住民税の取り扱いは自治体によって異なる場合があり、今後の制度変更により内容が変わる可能性があります。個別の税務判断については、所轄の税務署または税理士等の専門家にご相談ください。本ブログは個人が運営しており、税理士等の専門家による監修は受けておりません。

参考情報

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この記事を書いた人

本業はマーケティング部門でAI活用の業務効率化や仕組みづくりに従事。日商簿記3級の知識を活かし、自身も副業を行っています。その経験をもとに「副業サラリーマンが本当に必要とする会計・税金の情報」をわかりやすく発信しています。

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